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高田教区宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要をお迎えするにあたり

 「お念仏には卒業式はありません」

            高田教区御遠忌推進委員会副委員長
            高田教区門徒会会長
        第3組(能生)西性寺門徒 五味川 千秋
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 高田教区宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要が高田別院、そして新井別院に於いて四月十八日より二十四日迄行われる事は皆さま方ご承知の事と存じます。

 今思えば二〇一一年八月二日にこの計画案が立ち上がり、のちに正式決定された事です。その間六年と八ヵ月余りに亘り関係御寺院・御門徒の方々に、最高の舞台で参拝して頂ける事を願い、いくつかの部会を設け何回も打合せ会議を重ねてまいりました。そのなかで高田別院大門及び塀の御修復・新井別院本堂屋根等の御修復が記念事業として計画された事です。

 さて、立派な計画は立てられてもその資金をどうするのか、大きな壁に突き当たりました。結局最後は皆さま、御寺院・御門徒・有縁の大勢の方々に無理な御懇志募財をお願い致しました。結果、理解ある皆さま方のお陰で無事に御修復工事が完了する事となり、心より厚く御礼感謝するところです。

 私たち家庭でも、親兄弟・親族を亡くしたあとに何回忌といって法要をお勤めする習わしがありますが、なぜ親鸞聖人は五十年ごとにお勤めをしているのか。お勤めをしなければならないのか、と尋ねたくもなりますが、人間として先人を偲ぶ深い思いがそうした習わしを生み出したのであろうと私は思います。親鸞聖人は今から八百有余年前、九十年のいのちを生き抜いた方です。いつの時代にあっても悩み苦しみまどいのない人生などありません。この悩み苦しみを克服するすべは、ただ一つ、仏さまに出遇い仏さまとともに生涯を歩む、すなわちお念仏ではないでしょうか。そして親鸞聖人は、繋がりのなかで自他共に目覚める道が本願念仏の教えにあると教えてくださっています。

 待ちに待った高田教区二別院挙げての宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要。有縁の皆さまにそれぞれ多大なるご協力を頂きお勤めされる事を、有難く心より感謝申し上げます。

 「お念仏には卒業式はありません」

 御遠忌が円成(えんじょう)したからといって決して終わりではなく、一生涯続けるものだと思います。「終着駅は始発駅」の言葉通りです。

 御遠忌の喜びを今後ふれあう人々に伝えていく事も皆さま方のお力だと思っています。どうぞご参拝ください。そして、ご参拝くださいまして誠にありがとうございます。
合掌



★教区御遠忌記念事業の「別院大門及び塀御修復工事」の設計監理者である中村さんよりご寄稿いただきました。
高田別院大門及び塀御修復工事

合同会社 もば建築文化研究所
 中村 文美
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 2015年4月から2016年12月の21ケ月にわたる、大門及び塀の御修復工事が竣工しました。

 大門は、三間三戸の構え、大寺院本堂級の三手先(みてさき)の組物、入母屋(いりもや)造の屋根と深い軒、精緻な技巧の彫刻類など、江戸後期の上越地方の建築水準の高さを証明する貴重な文化遺産です。棟札によると、1827(文政10)年4月17日上棟、棟梁は竹澤志摩則行で、高田城下大鋸町(現上越市仲町)の大工です。

 大門及び塀は、御修復工事期間中の2015年8月4日に、境内の、本堂(1959〈昭和34〉年築)、鐘楼(1806〈文化3〉年築)と共に、国登録有形文化財の告示をうけました。

修理前の破損状況

大門は、建築後188年の年月を経て、屋根全体が背面(西方向)へ傾き、組物の潰れや折損、軒全体の垂下などの破損がみられ、塀は、軸部全体の歪みや、小屋組の腐朽、屋根瓦の割れ、軒先のあばれがありました。

保存修理方針

 大門は、組物及び小屋組の破損を修理するために、組物から上部を解体する「半解体工事」とし、塀については軸組の歪みが著しいため、「全解体工事」を行いました。

 また、建物の文化財的価値を保持し、寺町の歴史的景観に配慮するため、建築当初の姿を考慮した復原的整備を行うことを基本方針としました。屋根は、建築当初杮葺の形状を復原し、且つ屋根の軽量化を考え、杮葺型銅板葺に復原整備しました。また、景観を考慮して大門の軒先を支える後設の鉄骨支柱を極力減らすため、小屋組内に構造補強を施しました。これらの保存修理方針や修理後の耐震性能の目標値については、御修復委員会において協議を行い決定しました。

現状変更

 国登録有形文化財では、修理工事の際に工法や意匠を変更する場合には「現状変更の届出」を行う必要があるため、以下4つの項目について手続きをしました。

①桟瓦葺屋根を、杮葺型銅板葺に復原整備する。

②大門の軒の出を支える後設の鉄骨支柱12本を撤去し、新規に四隅4本の鉄骨支柱を設置する。

③塀の壁のうち、参道側について、後設の白色塗装合板を撤去し、ラスモルタルの上、砂漆喰、白漆喰で仕上げ、定規縁5本入り(修理前の意匠と同様)に整備する。

④基壇正面と背面にスロープ及び手摺りを設置する。

軸部の構造補強 大門は、建物の用途が「門」であり一時的な通過にのみ供する建造物であること、冬期は屋根からの落雪のためこれまでも建物周辺は立入り禁止としており、修理後も冬期は同様の扱いとすること、文化財的価値を保持するためにも扉口や柱間を極力ふさがず、建物本来の姿を後世に伝えたいという点を考慮して、文化庁「重要文化財(建造物)耐震診断指針」が示す「復旧可能水準」を修理後の性能目標としました。

小屋組の構造補強

 小屋組は、12本の鉄骨支柱を全て撤去しても問題のないよう、強度及び耐震性を調査及び計算し、小屋組内のスペースで可能な限りの補強を施すこととしました。補強にあたっては、鉄骨等は用いず、木材による補強を原則としました。風圧及び、積雪と地震時の不測の事態への安全を考慮し、四隅は既存鉄骨撤去のうえ、新規設置をしました。

 この度の御修復工事を経て、大門及び塀が、教区の皆様ならびに地域の皆様に親しまれ、高田の寺町の歴史的景観を象徴する建造物として永くあり続けることを願っております。



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◎高田別院親鸞教室『歎異抄』に学ぶ
講師交代のお知らせ

★退任★

 ただ念仏のみぞまこと

第6組(高田)西光寺 豊島  信

 昨年十二月十二日をもって、ご命日法要での「歎異抄に学ぶ」のお役目を交代いたしました。

 言うまでもなく真宗の教えは、ただ念仏すべし、このこと一つです。しかしながら、『歎異抄』後序に記されているように、専修念仏が弾圧され、口に念仏を称えることが許されない時代がありました。先の大戦中も天皇を中心とした国家が形成され、仏法がそれを超えることは許されませんでした。

 称えることができないということは、聞く者がおらず、声を発することを許さない者が存在するということです。
「もの言えぬ時代」とも言われている現代と通ずると思います。

 『歎異抄』を通しての学びは、ただ念仏申す、このことを明らかにする学びでありました。声を発することを第一義にこれからも精進してまいります。

 「お育ていただく」とよく申しますが、まさに多くの方からお育ていただいたとしか言いようのない六年間でした。本当にありがとうございました。



★就任★

 『歎異抄』に学ぶの講師となるにあたって

第8組(鶴町)圓性寺 林 康一朗
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 この三月から「歎異抄に学ぶ」の講師を仰せつかりました、八組圓性寺の林と申します。

 今まで諸先輩方が講師となってこられた講座を引き受けるにあたり不安と緊張でいっぱいです。ただ私が何か説くというのでなく、皆様と共に自身のことを歎異抄に聞く、歎異されるのは自分である、という姿勢で臨みたいと思っております。未熟者ですがよろしくお願い致します。



高田別院俳壇

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◎定例法話のお知らせ

●高田別院親鸞教室

『歎異抄』に学ぶ
日時 毎月12日(3月から12月)午後1時30分
会場 高田別院本堂
講師 林康一朗氏(第8組圓性寺)
テキスト 『歎異抄』東本願寺出版


●親鸞聖人ご命日の集い

日時 毎月27日(3月から12月)午後1時30分
会場 高田別院本堂
講師 3月 坂井龍輔氏 4月 滋野憲史氏
   5月  選定中  6月  選定中
   7月  選定中  8月  選定中


●高田別院行事ご案内

4月6日(金)別院奉仕研修 
     講師 岩崎 歩氏(第11組專敬寺)
  
4月18日(水)「春の法要」※午前中一座のみ

8月5日(日) 暁天講座     
8月6日(月) 不戦平和の誓いの鐘

10月4日(木)~7日(日)「報恩講」

11月上旬 有縁講(高田別院引率)
11月下旬 真宗本廟(東本願寺)御正忌
     報恩講団体参拝

お問い合わせは高田別院まで 025ー523ー2465


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編集後記
 久方ぶりの大雪となった冬も明け、いよいよ教区御遠忌をお迎えします。
 そこで私の人生においての50年を考えてみますと。
50年前は・・・生まれていません。
50年後は・・・お浄土に還らせていただいていますか。
それを思うと、50年という歳月の長さを感じると共に、何より今ここに宗祖の御遠忌に出遇わせていただくことのできるご縁の尊さと有難さを感じずにはいられません。(千)


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